2018年総会・研究発表会報告
2018年総会・研究発表会は1月27日、東京大学本郷キャンパス・理学部2号館4F大講堂で開催された。
奥本大三郎氏による特別講演『虫とことば』は蛾と文学の関わりについて述べられた。蛾という文字は14世紀後半に成立した『太平記』が初出で、それ以前の蛾を示すことばは「ひひる」や「ひとりむし」で火に来る虫をすべて含めていたとのことであった。内藤丈草の俳句「大原や てふの出て舞う 朧月」の「てふ」とはオオミズアオのことではないかと参加者と一体になって読み解きをした。普段、中々触れることのない話題に興味が尽きなかった。
工藤誠也氏による招待講演の『東北地方で話題の蛾について』は近年、東北地方で話題になった蛾について述べられた。2014年に新種記載されたミチノクスカシバをはじめ東北地方のスカシバ類の課題について、2015年に青森県から再発見されたクロフカバシャク、その他、黒化するウスタビガ、コスカシバなどの話題を提供された。美しい生態写真のスライドは圧巻であった。
一般講演では、登山を要する赤石山脈南部の高山蛾調査から、小笠原の蛾類調査の話題、小型のミノガの1未記載種、日本のホシオビコケガは2種いたことやフレンチギアナでの採集記など多岐に渡る話題が提供された。
研究発表会78名、懇親会51名と多くの方々に参加を頂き、盛会のうちに終了した。会場の手配など頂いた東京大学総合研究博物館助教、矢後勝也氏に厚く御礼申し上げます。
Last update: 31 Jan, 2018