TITLE

第52回 みくに会報告

日本蛾類学会の歴史ある採集例会「みくに会」。52回目の今年は2023年7月8~9日にかけて長野県伊那市の「仙流荘」で開催されました。この地域は、南アルプスへの登山者のみならず古くから昆虫採集の好適地として親しまれ、特に2001年に新種記載されたツジヒゲナガコバネカミキリを求めて多くの虫屋が訪れている聖地でもあります。

1日目(7月8日)
第52今回は長野県での開催ということで関東、東海地方の方を中心に、北は山形県、南は沖縄県と全国から老若男女66名の同好者が集まりました。参加者の年齢も最年長の80歳から最年少は8歳と幅広く、なかでも30代以下が21名と約3分の1を占めるなど若者の参加が過去最多となり、近年まれにみる若さ溢れるみくに会になりました。
前日入り、当日早めに来て周辺で採集をしていた参加者も夕方までには全員が集まりました。夕食が開始されるまでには、ライトトラップを宿の前に設置しました。
夕食が始まると、お酒も入り歓談を楽しむ時間に各々、久しぶりの再会を喜び合う声、近況報告や情報交換と蛾談議に花を咲かせていました。一方で、早く食事を済ませてライトの前へ急ぐ人の姿も。日没すぐにはオレクギリンガやサラサリンガなどの美麗種が飛来しました。夜が更けるにつれてオオミズアオやウチスズメなど大型の蛾がその姿を現し、参加者を楽しませてくれました。
若手の参加者にはミクロに精通した方も多く、小蛾類を熱心に採集されていました。オオサザナミヒメハマキ、クリミドリシンクイガなどが多く飛来し、クロモンベニマダラハマキのような美麗種も得られたようです。ミクロは軟化展翅が難しいので現地ですぐ標本にするのが鉄則ですが、眠い目をこすりながらも朝5時過ぎまで展翅作業をこなす姿は非常にエネルギッシュであり、彼らが今後のミクロ界を盛り上げてくれることは間違いないでしょう。

2日目(7月9日)
朝7時30分から朝食を取り、その後大広間へ移動。ここからは毎回恒例の朝のミーティング、もとい岸田会長とのジャンケン大会。ジャンケンに勝つと豪華賞品がプレゼントされました。また、有志が主催し「ケンモン」と名の付く蛾に焦点を当て1年間の採集種数を競い合ったケンモンヤガペナントレース、通称「剣ペナ」の表彰式も行われ、上位3名には賞状が授与されました。
記念撮影(Fig)の後は一旦解散し、10時から「幼虫観察教室」を開催しました。蛾類幼虫の生態解明に多大な貢献をされた中島秀雄氏のご指導のもと、仙流荘付近の林道を歩いて食痕や糞などを手掛かりに様々な幼虫を探索しました。
 来年のみくに会についても、実施会場について幹事で検討中です。具体的な開催に関する情報は詳細が決まり次第、蛾類学会のホームページや会誌などでお知らせいたします。参加希望の方、興味がある方は日本蛾類学会のホームページの「学会からのお知らせ」(http://www.moth.jp/archives/category/announces)をご覧下さい。
これからも日本の蛾類学の発展に寄与するように、明るく楽しく開催していきます。皆様、引き続きのご協力とご参加をお願いいたします。

Fig.みくに会集合写真

カテゴリーの一覧へ戻る

Last update: 21 Aug, 2023